父と娘の単なる近況
うちの父は感情の起伏の少ない人で、なにか相談すると公平にものごとを俯瞰し、きわめて論理的で冷静な意見をくれます。視野が広いとはいえない私にとって非常にありがたい存在です。
まあそのかわりすごく感動したり興奮したりがないので、「これおいしいね! きれいだね! 面白いね!」みたいな共感はさっぱり期待できません。アガらない、サガらない、よくもわるくも淡々と。
長いこと父娘で二人暮らししてましたので、イベントごとも「こないだ私誕生日やってんけどなんかちょーだいやー」「その前わしの誕生日なんももらってない。したがって相殺」で終了。クリスマス、バレンタイン、以下同文。ま、そんなもんですよね。
そんな父は55歳から絵を習い始めました。仕事人間なので定年後なにか趣味をつくってほしいと母が希望したようで、月何回か教室に通ってそれはまあ淡々と通ってました。静物画まあまあ、風景画あんまり、人物びみょー、そんな感じ。まあ仕上がりはどうあれ、習慣化するのがじょうず、すごいね。
シュールレアリズムの静物画にしぼって二年前くらいからコンクールに挑戦するようになり、ちょこちょこ入賞。そして先日、二科展で賞をいただいたようです。去年、日展でだめで落ち込んでたのと、一年半かけてコツコツ描いていた作品だったからうれしそうでした。おおよかったね、おめでとう!
母が亡くなってからは妙な気負いがあって、かわりに私がこの人の余生の生きがいを作らねば! と思えば思うほど空回ってしんどかったのですが、余計なお世話でした。父は父、私は私。お互い好きなことを好きなだけやってればよかったんやね。
そんなこんなであらためてお父さんおめでとう。いろんな人に「いつも冷たいからちゃんとお祝いしたげや」と言われたのですが、こないだ私の日本舞踊の初舞台の動画みせたら開口一番「おお、おまえもりっぱな中年になったな」といわれたので、ふんだ、なにもするもんかと娘はへそを曲げております。
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あっ! シリコンバレーのレポート…また今度…
はたぼう
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